花の色

(2005/1/29)

(さし芽から8年7か月経過)



花の色?


    花の色は 移りにけりな いたずらに

          我が身世にふる

                 ながめせしまに   (小野小町)

 「花の色」と聞けば、有名なこの和歌が浮かんできます。しかしここでは、

 「花の色はすっかり衰えてしまったことよ」、と嘆いた小野小町の気持ちとは反対に、これから咲くさつきの「花の色」のことを考えてみます。

 さつきの花の特徴の一つに、咲き分け(1本の木にいろいろ違った花が咲くこと)があります。毎年開かれる展示会には見事な咲き分けの盆栽が 必ず出品され来訪者の目を奪います。さつきの咲き分けは、その木が本来持っている特質に依存するところが大きいのですが、展示会に出品されるような作品は、 ただ漫然と咲かせたものでは決してありません。長期間の愛培により、その木の特性を熟知した上、満開になった姿をイメージして盆栽の完成度を高めて行った 作出者の丹精があります。

 前年の花芽分化から、ある程度時間が経過すると蕾を見ただけで来春の「花の色」を推定することができるようになります。咲き分け盆栽の手入れは、 摘蕾(不要の蕾を取り去る)作業の中で、蕾の色の変化を確かめながら慎重に進めることが重要になります。

 単色咲きの盆栽がもっぱら「形」にこだわるのに比べ、咲き分け盆栽には「花の色」や花のアレンジという、もう一つの要素が加わってきます。盆栽の「形」には 伝統があり、いわば教科書があります。しかし、咲き分けには定型パターンはありません。その年に見られる偶発的な「花の色」を生かしながら、その年の最高作品 として完成させて行く必要があります。したがって咲き分け盆栽はその年々によって、全く違ったイメージになることもあります。これが咲き分け盆栽を愛倍する 楽しさでもあり、作出者に鋭い感性が求められるゆえんでもあります。





 これは私の「高豊の光」です。右側の蕾には明らかな違いがあります。12月8日に行った摘蕾のときには、まだ色の違いを感じなかったので、 この蕾は1ヶ月の間に色が変化したのかも知れません。

 この木は白花が多いので、赤の入った花を待っていたこともあり、この蕾は大切に見守って行くつもりです。 










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