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花の色?
花の色は 移りにけりな いたずらに
我が身世にふる
ながめせしまに (小野小町)
「花の色」と聞けば、有名なこの和歌が浮かんできます。しかしここでは、
「花の色はすっかり衰えてしまったことよ」、と嘆いた小野小町の気持ちとは反対に、これから咲くさつきの「花の色」のことを考えてみます。
さつきの花の特徴の一つに、咲き分け(1本の木にいろいろ違った花が咲くこと)があります。毎年開かれる展示会には見事な咲き分けの盆栽が
必ず出品され来訪者の目を奪います。さつきの咲き分けは、その木が本来持っている特質に依存するところが大きいのですが、展示会に出品されるような作品は、
ただ漫然と咲かせたものでは決してありません。長期間の愛培により、その木の特性を熟知した上、満開になった姿をイメージして盆栽の完成度を高めて行った
作出者の丹精があります。
前年の花芽分化から、ある程度時間が経過すると蕾を見ただけで来春の「花の色」を推定することができるようになります。咲き分け盆栽の手入れは、
摘蕾(不要の蕾を取り去る)作業の中で、蕾の色の変化を確かめながら慎重に進めることが重要になります。
単色咲きの盆栽がもっぱら「形」にこだわるのに比べ、咲き分け盆栽には「花の色」や花のアレンジという、もう一つの要素が加わってきます。盆栽の「形」には
伝統があり、いわば教科書があります。しかし、咲き分けには定型パターンはありません。その年に見られる偶発的な「花の色」を生かしながら、その年の最高作品
として完成させて行く必要があります。したがって咲き分け盆栽はその年々によって、全く違ったイメージになることもあります。これが咲き分け盆栽を愛倍する
楽しさでもあり、作出者に鋭い感性が求められるゆえんでもあります。
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