夢のお告げ

(2005/7/9)

(さし芽から9年0か月経過)


 夢を見ました。

 剪定を終わった「高豊の光」が私に向かって「植え替えをしてほしい」と訴えている夢です。どうしてこんな夢をみるのか?  自分の深層心理を分析してみました。

 1週間前の7月2日この木を剪定していた時、私はこんなことを考えていました。
 「去年の6月秋月を枯らした原因は、3年間も植え替えをしないで放置していた若木を深く剪定し、針金かけまでして木に 大きな負荷をかけたことではないか・・・?」。
 「そして今、自分はこの「高豊の光」に「秋月」にしたことと同じことをしているのではないか・・・?」。
 そのことに気付いてから自分の心に一つのこだわりが生じました。しかも、今はもう7月の中旬、植え替え時期も限界です。

「今、この鉢を植え替えすべきか否か・・・?」

 この問題が私の心の奥底で小さな「葛藤」を生じていたのです。私は今日、この夢のおかげで植え替えを決断し、即実行しました。




 鉢の中の限られた「土」、そして不定期に与えられる「水」。盆栽が生きるための要素はほとんどこの2つが握っています。水に関して言うならば、盆栽は 土の中に張った「根」から水を吸い上げ、それを「葉」から蒸発させている、だけ。

 しかし、この吸収と蒸発とのバランスが盆栽にとっては極めて重要です。

 例えば、盆栽の枝を剪定するとその鉢は途端に水の吸収が悪くなり、鉢土の表面が他の鉢に比べて乾きにくくなります。葉っぱが少なくなった分だけ水の蒸発が減り、 根からの水分吸収も減ったということが一目瞭然です。植物は自分の成長を、「土」と「水」、そして「気温」の状況を感知しながら吸収と蒸発を絶妙に調整し身を 守っています。しかし、人間が勝手に葉っぱを切ったり(剪定したり)根っこを切ったり(植え替えしたり)して、彼らが吸収と蒸発を調整できる限界を超えた場合、 その木は元気を失い、やがて枯れてしまうということになります。

 それでは、手入れを何もせず放置したら鉢はどうなるでしょうか。
 上の絵のように、土の表面や土と鉢との境目などに細い根が堆積し、水の通りが悪くなり「根腐れ」を起こし易くなります。「根」の成長は極めて微妙です。 もし、自らの木に水が足りないと見るや「根」は水を求めて動き出します。しかしここで重要なことは、一旦成長した「根」は、水がこれ以上必要なくなった としても、伸びた「根」を減らすことはできません。鉢の中ではこのようなプロセスが繰り返され、古い根が堆積していきます。
 長年植え替えをせず放置した鉢は総じてこの状態になっていますが、これが原因で盆栽が突然枯れてしまうということはめったにありません。与えられた環境条件の中で 木自身が懸命に調整をしているからです。しかし、そういう状態の鉢を植え替えをせず、深く剪定したとしたらどうなるでしょうか。鉢の中は常に過湿状態となり、 ついには根腐れを起こし枯れてしまうことでしょう。

 結論を先に言うならば去年枯らした「秋月」は、この根腐れが原因だったのです。




 最も望ましい植え替えの時期は、その場所で桜の花がほころぶ頃と言われています。それまで動きを止めていた木が春の息吹を感じて、今まさに動き始め ようとする時期と一致します。盆栽を一旦裸木にして姿を作り直したり、完全に根洗いをするなどの荒っぽい作業はこの時期にするのが安全です。




 さて、今は7月、この時期に植え替えと剪定を同時にしようとすれば、不要の枝を大雑把に落とし、植え替えを行い、その後慎重に剪定を行う、というのが 順序です。夢のお告げがあったから致し方ないとしても、今回、この鉢は順序が逆になりました。剪定を終わったばかりの木を植え替えしたことにより、 木に無用の負担をかけたかも知れません。しかし、夢の中の訴えが効を奏し、根腐れの心配は解消しました。この木もきっと喜んでいることでしょう。

 おかげで私の心の奥底にあったこだわりと葛藤もすべてなくなり、今夜は安眠できそうです。






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